タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

蕨採り後の瞑想

 今日は朝の早くから妻と恒例の蕨採り。場所は既に1週間前下見で行っているが、冬場はスキー場となるところである。前回は多少出遅れたため先着隊が既に来ていたが、今朝 満を持して6時に着いた時はさすがに誰もいなかった。

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 写真は今日の収穫物で、左は私の収穫 3.6kg、右は妻ので5.2kg。二人合わせて8.8kgは、末端価格で軽く1万円は超えるであろう。それにしても、同じ労働時間で妻の出来高は私のおよそ1.5倍、いつも私の負けと決まっている。妻が勝者になるわけである。
 さて、進化の歴史の中で強いものが生き残るわけではない。どちらかと言えば弱者の中の環境変化に適応したものが生き残ってきた。今から6600万年前、巨大隕石がメキシコのユカタン半島に落ち、地球に未曾有の大災害が生じた時も、地上最強の恐竜が滅んだが、その恐竜に追われて逃げ回っていた弱者の哺乳類は生き残った。巨大隕石は哺乳類にとっては、幸運を呼び込んでくれた天からの贈り物となった。
 昨年から人類は、新型コロナウイルスパンデミックで騒然としているが、生物進化の歴史の中でウイルスは重要な役割を果たしている。ウイルスは遺伝子の運び屋であり、進化を推進するキーファクタと捉えることができる。実際例えば、ウイルス由来の遺伝子と考えられている PEG10(paternally expressed gene 10)が 哺乳類の特徴的機能である胎盤形成に欠かせない存在であることが証明された。今、悪の権化と見なされているウイルスがいなかったら、哺乳類への進化もなく、人類は生まれていなかったわけである。
 我々人類(ホモ・サピエンス)と一番近いとされるネアンデルタール人は、今から2万数千年前に絶滅した。ネアンデルタール人ホモ・サピエンスより屈強な体を持ち、脳容量もホモ・サピエンスの平均1450ccに対し、ネアンデルタール人が1600ccと大きい。体も脳容量もでかいネアンデルタール人の方が滅び、彼らより弱いと思われるホモ・サピエンスの方が生き残ってしまった。最近の研究から、ネアンデルタール人が絶滅した頃、ホモ・サピエンスも個体数を大幅に減らして絶滅の危機に瀕していたことが分かった。ホモ・サピエンスネアンデルタール人との戦いに勝ったわけではなく、両者とも氷河期という環境悪化の中で、ひたすら耐えていたのである。
 人生、強い者が勝つとは言えない。と言うか、人生に勝ちも負けもない。勝ち組・負け組 と言っている間は、人生の意味を理解できる境地に達することができないのである。人生に何が起こるか分からない。起きたことが将来、吉になるか凶になるかも分からない。ただひたすら、自然の摂理の中で生かされていくのみである。