改正高齢者雇用安定法

 改正高齢者雇用安定法が今月から施行されている。先月までは65才までの雇用確保が事業主に対して義務だったわけだが、今月より、70才までの雇用確保が努力義務となった。いずれ努力義務から義務へ変わっていくだろう。これを「70才まで働かされる時代」と捉えず、「自分で辞め時を判断できる時代」になってきたと前向きに捉えたい。
 私は60才で定年となり、それと同時に東京から富山に転勤して再雇用となった。再雇用の前半はフルタイムであったが後半はパートタイムとなり、昨年の誕生月で65才に達したことをもって退職した。私の場合は、65才という法律で定める限界値で辞めたことになるが、これが70才まで上がるのであれば、正に「自分で辞め時を判断できる時代」になってきたということになる。しかしながら、もし 辞めたい時に十分な年金がもらえず、それを補う蓄えもない場合は話は違ってくる。計画的な資産形成が叫ばれるわけである。
 私は退職後、IT会社のお手伝いをする形で、いわゆるフリーランスとして時折仕事をしている。労働時間は平均15時間/月 程度、全てテレワークであり、妻に言わせれば、「趣味の仕事」をやっていることになる。
 最近、この趣味の仕事で、あるメーカの「組立作業ガントチャートシステムの刷新」という仕事が舞い込み、私は現行システムの仕様解析を担当することになったが、そこで新しい気付きがあった。私が元いた会社では、ERP(Enterprise Resource Planning)システムの中で MRP(Material Requirements Planning :資材所要計画)を回し、その出力結果にて、必要な部品をサプライヤへ発注して生産を回していた。ところが、この会社では、MRPの出力結果で必要部品の調達を行う以外でもう一つ、そのMRPの出力結果を今回刷新対象となるシステムにインプットし、ガントチャートで表示している。すなわち、MRPで 必要部品ばかりでなく必要作業も算出していることになる。
 長い間一つの会社に勤めていると、その会社の仕事のやり方が「標準」に思えて来る。今更ながら、他者を見ながら自己を省みることの重要性を感じた。過去を顧みれば、私は非常にラッキーだった。東京から富山へ転勤となった2015年に北陸新幹線が金沢まで開通した。朝一の新幹線に乗れば、東京本社に9時に着けた。フルタイムからパートタイムに変わり、仕事量を数年かけてゆっくりと落としながら、長時間労働を短時間労働へ移行できた。退職した2020年には新型コロナウイルスが流行り、これ自身は厄災なのだが、これがトリガーとなってテレワークが当たり前となったため、富山に居ながら全国の仕事ができるようになった。お陰で今では、趣味の仕事を、ゆったりと時間が流れる田舎でできるようになった。