変異株の脅威とワクチンの効果

 日本でも変異株が主流となってきた。N501Y変異株は感染力がアップしていると言われているし、E484K変異株は「免疫逃避型」と言われている。
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上図は免疫逃避の説明図であるが、中和抗体がウイルスのスパイク蛋白質に結合し難くなったため、E484K株ウイルスが細胞受容体(ACE2)に結合できるようになった(感染できるようになった)ことを示している。実際ブラジルでは、この2つの変異を両方とも含んだダブル変異型(N501Y+E484K)が流行したため、第1波で感染した人(中和抗体ができた人)も再感染し、第1波をはるかに超える1日8万人の感染者を出してしまった。
 これに対するワクチンの効果であるが、N501Y株ウイルスに対しては、従来と同程度の抗体量で中和できたが、E484K株ウイルスに対しては従来型を中和できる抗体量の3.5〜10倍を必要としたとのレポートが公表されている。
 これらを踏まえた今後の日本の変異株シェアと感染状況は以下のような姿になると予想される。
・当分の間、N501Y株が従来株のシェアを食っていく
・ワクチンが行きわたり始める秋口から、E484K または ダブル変異型(N501Y+E484K)が主流となり、感染が再拡大する(第5波)。

 ここまでは暗い話題になったが、ファイザ社のワクチンに関しては、明るい話題も提供されている。ワクチンは抗体を作るためのものとされているが、この抗体産生効果以外に、キラーT細胞を作り出すことが明らかになった。抗体を、細胞に感染する前のウイルスをやっつける武器とすれば、キラーT細胞は、細胞に感染し細胞内に入り込んだウイルスを感染細胞ごと死滅させる強力な武器と言える。このため、ワクチン接種で後遺症も癒えたという症例も報告されている。ワクチンのE484K変異株に対する抗体としての効果は下がってしまうが、キラーT細胞産生による効果は、従来株と同等に働くので、第5波の山は低く押さえられるかも知れない。