タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

キジを見ながら進化を考える

 今朝日課のウォーキングをしていたら、道の右側5m先の人家の生垣から突然キジが出てきて、道を横切り、左方の田んぼの方へ駆け抜けて行った。f:id:TatsuyaYokohori:20210403223906p:plain
 上図は最近撮った雉たちである。撮影場所は左から、空き家の庭、自宅裏の田んぼ、農家の庭先である。人間である私の目から見ても美しいと思えるので、メスの雉から見たら、さぞ「かっこいい」、「胸キュン」的な存在になるのであろう。このように美しい姿に進化する原動力は何であろうか?
 まず、羽毛の色がこのようにカラフルになるのは、発色する色素物質が沢山あると思われた。ところが調べてみると、鳥類の羽毛の色も3/22の「髪の毛の色を決定する遺伝子」で説明したユーメラニンフェオメラニンの2つの色素物質で発色されていることが分かった。つまり、発色物質においては人間も鳥類も同じということになる。どんな色になるかは、羽毛のケラチン組織へ輸送される色素物質の種類と量が影響し、模様は輸送のタイミングで決まるそうだ。
 ダーウィンの進化論は「自然選択」と「突然変異」の2本柱で構成されているが、雉の美しい羽毛の模様は「突然変異」によるものではないと思われる。なぜならば、色素物質が哺乳類や鳥類で共通であり、それを産生する遺伝子も両類でほぼ共通であることから、これらの遺伝子が、雉の美しい色模様を作るために突然変異にて雉だけに出現したものではないことは明らかであるからだ。また、よく「突然変異で白毛になった動物」の話を聞くことがあるが、これは突然変異で色素物質を作れなくなったことを意味しており、このような動物は劣性遺伝で子孫を残すことができず、よって進化の推進役にはなれない。いずれにしても、突然変異がキジを美しい姿に進化させるきっかけとなっていないことは確かである。それでは、形質変化はどのようにして起こるのであろうか?
 進化を羽毛の発色の例で考えれば、ケラチン組織へ送られる色素物質の配合度合いが羽毛の色の変化を引き起こし、そのタイミング(成長過程のどの時期にどの位の時間 色素物質が送られるか)が模様の変化を引き起こすとのことなので、このような謂わば「微調整」が形質変化を引き起こしていると言える。これは、遺伝子は変化しなくても、その遺伝子が発現する時期と時間の変化が形態変化を引き起こしていることを意味する。そしてこの「微調整のやり方」が親から子へと遺伝するから生物は形質変化し、進化するのである。
 一方で「自然選択」の方は進化を推進する力になっていると思える。クジャクはキジ科の鳥であり、オスは美しい羽根を広げてメスを誘う。オスの羽根が美しければ美しいほど、多くのメスと交尾ができ沢山の子孫を残すことができる。よって、キジやクジャクの場合、自然選択とは「メスからの選択」と言っても良い。そしてこの選択がキジ(オス)を美しく進化させる推進力として働くのである。
 人間の世界では、「三高」といって、身長が高い、学歴が高い、年収が高い の3つが、女性が結婚相手に求める3条件と言われている。これが進化の推進力として働くなら、将来、人間の身長はもっと伸びるのであろうか?