タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

LINEと中国問題

 LINEの個人情報が業務委託先の中国関連企業から閲覧可能になっていたとして問題になっている。私がまだ会社務めをしていた時、システム開発を中国の企業へ発注したことがあったが、システム仕様をTV会議で、日本語とシステムの両方理解する中国人技術者を介して詰める作業に大変苦労した。結局、出来上がったシステムの質も良くなかった。システム運用はシステム開発とは違い、委託元と委託先との長期間の関係となるため、運用業務委託先が中国企業になることは、当時の私の常識からすれば「有り得ないこと」となる。
 中国との関係では色々苦労した。一つ目が「電送技術開示問題」である。当時、私が勤めていた親会社から、子会社である海外現地法人に図面や部品表を電送するシステムが構築されていた。そのシステムの電送処理は、市販のセキュアなインターネット電送の仕組みを使っていた。ある日、中国共産党政府が、この暗号化技術の開示を求めてきた。販売元のシステムベンダに相談したが、答えはもちろん「No:開示できない」であった。それで中国現地法人のIT本部長に相談したところ、彼は次のように言った。「中国の問題は日本人理解できません。中国人の私が言う通りにやってください。中国への電送はFTPに変えてください」。ということで、言われるまま中国現法への電送方式を、暗号化しない一般的なFTP方式に切り替えた。そしてこの変更により、中国政府が電送データの中身を盗み見しチェックできるようになった。
 二つ目は、中国現地法人へのシステム導入である。当時中国には3つの現地法人があり、一番手として山東省にある現地法人へ部品表システム導入のため出張した。部品表データは、親部品がそれを構成する子部品の情報を、子部品がそれを構成する孫部品の情報を持つ という形で階層構造になっているのが一般的だが、中国現地法人の部品表は、階層構造ではなく、「ものが手配できれば良い」との考えでフラットな構造になっていた。仕方がないので、そのフラットな部品表をベースに初期部品表データベースを構築した。
 システム導入とオペレーション説明がなんとか終わり、最終日にFarewell Partyをやってもらった。こちら側は私と中国語が堪能な情報システム部員、現地法人側は生産管理課長と課員で総勢十数名が円卓を囲む宴会となった。宴もたけなわになり始めた頃、若手の課員が次々に私の方に来て白酒(バイチュウ)を注いできた。私も相手に注ぎ乾杯をしたら相手が代わるという感じで、これを5,6人続けたのだろうと想像する。正直言って、それ以降の記憶がない。気が付いたら、出張同行者の首に手を回してもたれかかり、宿泊ホテルへの道をよろけながら歩いていた。後で中国事情に詳しい人に聞いたら、「中国人は注がれた酒を全部飲みません。皆こっそりと床にこぼしているのです」と言われた。