タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

タケノコ掘り

 今日は、妻の母方の実家の裏山へタケノコ掘りに行ってきた。今は誰も住んでいないその地は無管理状態となっており、竹が生い茂る急斜面のあちこちには、不届き者の先発隊が掘り起こした穴とタケノコの皮があちこちに見られた。そんな中、小ぶりだが5本のタケノコをなんとかゲットできた。

 この地は立山へ行く県道沿いにあり、今日は立山へ向かう自家用車や観光バスがひっきりなしに通り過ぎた。立山黒部アルペンルートは4月15日から開通しており、先日の地元のTVニュースでは、「雪の大谷」を見に来た外国人観光客(台湾)の、雪を初めて見て感激した様子が流れていた。今年の雪の大谷の雪壁は、最大高さ12mとのこと。美しい日本を堪能していってください。

雪の大谷





円安差益還元と隠し金開放

 今週明けから円安が更に進み、ここ数日1ドル154円台で推移している。円安は輸出業者にプラスに働き、またインバウンド需要も伸びるので、GDPを押し上げる要因となる。従って円安は、日本経済にとってトータルで見ればプラスであるのだが、マイナスの影響を受けるところもあり放置できない。一番問題となるのは、プラスの影響を受けるのがグローバルにビジネス展開をしている大企業であり、マイナスの影響を受けるのが国内で細々とビジネスを行う中小の企業となる点である。こんな時やるべき政策は、円安差益を困っているところへ振り当てることである。

 上表は昨年11月末時点の外貨準備高の内訳である。日本政府は総額1.27兆ドル(1ドル150円換算で190兆円)もの資金を保有している。為替レートは3年前が110円/ドルであったので、この3年間で外貨準備におよそ50兆円もの為替差益が生じている計算になる。政府がここで「為替介入」と称して、0.1兆ドルのドル売りを行えば(注)、市場から15.4兆円の資金を調達できる。そしてこれを1億2千万人の全国民にばらまけば、一人当たり12万8千円のボーナス給付金となる。このようにして、円安の恩恵を国民皆で享受できるようになるのである。もし岸田さんがこの政策を実行するなら、支持率は間違いなく回復するだろう。しかしながら、財務省の言いなりになっている現政権が、そんな「ばらまき政策」をできるはずがない。

 上表は、今年度の外国為替資金特別会計(略して 外為特会)の予算書である。こんな、歳出より歳入が3兆円も多い予算書を初めて見た。財務省は歳出を削ることを生きがいにしている人達の集団であるが、この外為特会については身内の予算となり、しかも隠し金予算となるので、こんないびつな形(歳入>>歳出)となっているのであろう。この歳入費目の中で「運用収入」が隠し金となる。外貨準備高の内訳の一つに「米国国債」があるが、現状の米国国債利回りを年利3%とすると、日本が保有するこの債権は、毎年およそ300億ドル(1ドル150円換算で4.4兆円)の運用収益(利子)を産み出す計算となる(予算書内の値とほぼ一致するので、この推定は正しいだろう)。この外為特会予算の歳入超過分3兆円を一般会計に繰り入れ、異次元の少子化対策に当てれば、岸田さんは「国民の負担ゼロで少子化対策をやり切ります」と主張できる。でも、財務省の提案を鵜呑みにするしかない現政権が、そんなウルトラC的良案を思い付くはずがない。実に無念である。

(注)1000億ドルものドル売り介入を行えば、為替が円高に動くことは疑いない。ただ、一旦為替介入をすれば、相場は急激に円高に動くだろう。日本は変動相場の国であり、「為替介入は過度な変動や無秩序な動きへの対応のために行われる」とG7で申し合わせており、こんな大量の資金を為替介入として売り切ることは実際問題難しいだろう。

 





経済のお勉強 税金について

 今日も昨日に引き続き経済のお勉強として、税金について調べた。

 上図は法人実効税率と消費税率の推移を表している。法人所得に対しては、法人税、地方法人税、法人住民税、法人事業税が課税される。法人実効税率とは、法人所得金額に対するこれらの課税合計額の割合である。この図を見ると、日本が国民からの課税を強化しながら法人からの課税を減免してきたことが分かる。
 この基本路線を引いたのは財務省である。景気により税額にぶれが生じる法人税から、安定財源となる消費税の方へ軸足を移したのである。これがそもそも間違いであった。税金には、累進課税という貧富の差を均す働きがあったのだが、消費税という一律課税を主軸としたため、低所得者の負担率が上がってしまい貧富の格差が開く結果となった。また、法人実効税率の低減は、株主資本主義の風潮とも相まって株配当金の拡大を促し、結果的には、企業の利益配分において、従業員の取り分を減らし(労働分配率の低減)、株主の取り分を増やすことになった。
 財務省は、消費税率を上げることが使命であるかのように考えている人の集団である。この財務省は消費税アップの際、財界を味方につけようと法人税の減免措置を提案した。消費税率が上がれば景気が冷え込み、結果的に企業の業績悪化に繋がるのだが、財界は深く考えず目先の利益に誘導され、消費増税の賛成側に回ってしまった。
 今 日本は、中産階級の多くが低所得層へ移行し、一部が就業所得にキャピタルゲインを積み増して高所得層へ移行しつつある。この分断はその内、政治の分断を産みだすかもしれない。現在の米国が分断しているように。



経済のお勉強 マネタリーベースとマネーストック

 昨夜、海外市場で為替レートが1ドル154円台まで円安に進んだ。3週間前に1ドル152円台を伺う展開になった時は、財務省が為替介入の姿勢を見せただけで勢いが止まり、その後はこの152円のラインで小幅な値動きが続いていた。週明け後の動きは急であり、この後市場がもし155円台に突入するようなら、日本政府はいよいよ為替介入に踏み切るかもしれない。
 最近、ブログに経済記事をよく書くようになってきたが、理系の私が経済の勉強を始めたのは、会社を辞めた後である。どうも経済の本質を理解できていない気がするので、今日は日本の経済の全体像をお金の観点からまとめてみようと思い色々調べてみた。

 上図は日本経済の現状をお金の観点からまとめた全体像である。
1.マネタリーベースとマネーストック
 マネタリーベースとは「日銀が供給する通貨の総量」と呼ばれているが、具体的には、「現金通貨+日銀当座預金」の総量で表される。マネタリーベースは日本銀行市中銀行間の取引きに使用される通貨の総量となる。これに対しマネーストックの方は、市中銀行と民間の間の取引きに使用される通貨の総量となり、具体的には「現金通貨+預金通貨」で表される。
2.お金は借金で生まれ返済で消える
 預金通貨は借金で生まれる。経済学では、この通貨が生まれることを「信用創造」と呼ぶ。上図では、市中銀行Aが会社Aに支払いを行う時と、市中銀行Bが会社Bへ貸付を行う時、信用創造にて預金通貨が新たに生まれ、マネーストックが増える。借金をする主体は、前者では日本国政府、後者では会社Bとなる。預金通貨は、通帳に金額を書き込むことで生まれるのである。
3.アベノミクスで市場にじゃぶじゃぶお金を投入したが景気が良くならなかった理由
 黒田日銀総裁は、異次元の金融緩和と称して金利を下げ、広義流動性(債権市場)にあった国債の半数近くを買い上げ、マネタリーベース内の日銀当座預金量を史上かってないレベルにまで増やしていった。以前までは、金融緩和してマネタリベースが大きくなれば、信用創造が活発となり、乗数効果でその何倍もマネーストックが大きくなったのだが、デフレ経済の中ではマネーストック量はそれほど大きくならなかった。黒田総裁はマイナス金利まで導入し、市中銀行から民間への貸付を促したが、この奥の手も芳しい成果を生まず、マネーストック増加の多くの分が貯蓄(滞留的預金通貨)に回り、経済を回すお金としては使われなかった。
4.デフレ時代にやるべき政策
 デフレ期に金融緩和を行うのは政策的には間違っていない。しかしながらデフレ期には、金融緩和しても企業による信用創造はあまり期待できない(毎年売上げが下がる中で経営者は設備投資をしようとは思わない)。こんな時は、政府による財政出動(具体的には公共事業の執行)こそが有効需要を産みだし、経済を回すカンフル剤になる。アベノミクスは第1の矢が「大胆な金融政策」、第2の矢が「機動的な財政出動」であって、第1の矢は実行されたのだが、第2の矢は財務省の抵抗で十分に実施できなかった。そしてそればかりか、有効需要を減らす消費増税を2回もやってしまい、デフレ脱却の芽を摘んでしまった。デフレ期の正しい政策とは、金融緩和に加えて、国債を増発して財政出動を大幅に増やし、預金通貨と有効需要を増やしながら経済を回すことである。





実質的に終了していたマイナス金利

 日銀のマイナス金利解除のほのめかしがあってから一ヶ月が経過した。イールドカーブ・コントロールの終了に伴い、長期金利(10年物国債利回り)が0.86%まで上昇したと言う。下図には、国債の利回り曲線(イールドカーブ)が示されているが、日銀がイールドカーブ・コントロールを終了したため、不自然に下がっていた10年物国債の利回りが上がり、このカーブの凹みが解消され、カーブ全体が上へ(金利上昇の方向)振れ始めた。長期金利は住宅ローンの固定金利と連動するが、この固定金利は昨年から既に上昇基調で推移している。

一方で、短期金利の方には目立った動きがまだない。


 上表は日銀が発表した「業態別の日銀当座預金残高」からの抜粋であるが、市中銀行が日銀に預ける当座預金の利率を、①プラス金利、②ゼロ金利、③マイナス金利に分けて表している。これを見ると、今年の1月以降でマイナス金利の割合が1%未満になっていたことが分かる。これは、3月に発表されたマイナス金利の解除が、銀行関係者にとっては既成の事実であり、銀行業務にほとんど影響を与えなかったことを意味する。住宅ローンの変動金利は、短期プライムレートに連動すると言われているが、ここまで短期プライムレートは全く動いていない。息子が変動金利でマンションローンを組んでいるので、短期プライムレートの今後の動きが気になるところである。




収入の枠内での生活が是か非か?

 今日お昼のTV番組で、今騒ぎとなっている水原一平氏の賭博損失額が62億円と聞かされ唖然とした。2021年12月から2024年1月までのおよそ2年間で、賭けに勝った総額が218億円、負けた総額が280億円とのこと。ギャンブル依存症は勝った時の記憶がいつまでも残り、『今度こそ勝てる』と思い深みに嵌ってしまうのだろう。それにしても、一人の一般人がそんな大金を動かせる現代は、考えようによっては恐ろしい時代である。
 FXでは、証拠金として預けた資金の何倍(最大25倍)もの金額の外国為替取引が可能である。このように少ない資金で多額の外国為替取引ができることを、「てこ」の原理になぞらえて「レバレッジ効果」と呼んでいる。もし、手元に10万円の資金があれば250万円の為替取引が可能となり、儲けも損失も25倍に膨れ上がる。金融の世界では、この「レバレッジ」を使った金額膨らまし効果もあり、世界中で昼夜を問わず大金が飛び交っている。
 私は個人的には、『収入の枠内で人並みの生活ができればそれで良いのではないか』と思っている。この「収入の枠内」という考えは、一般の日本人の標準的な考えに思える。一方で米国では、住宅に限らず様々な物品をローンを組んで購入するから、同じ「収入の枠内」と言っても、生活の営み方は随分違ってくる。
 さて、これら家計での「収入の枠内」という考え方を、そのまま国家の財政運営に持ち込むと国の経済運営に大きな支障を来たすことになる。何故なら、家計においては、収入の枠内での生活(収入>支出)があるべき姿であるのに対し、国家の財政運営においては、むしろ、赤字運営(収入(税収+税外収入)<歳出)の方が望ましいからである。それでは何故、家庭と国家の間でこんな差が生じるのであろうか? この理由を理解するのはなかなか難しいが、ヒントは、貨幣の本質を知るところにある。その本質とは、「お金は国が借金することで生まれ、その借金を返すことで消える(注)」という俄かに信じ難いところにある。この本質が分かれば、国が国債を発行して借金をすることでお金が新たに生まれ、その新たに生まれたお金で経済が成長することが理解できる。そして、逆に国が借金を返せば、国の中を流通するお金の量が少なくなり経済がシュリンクすることも理解できる。従って、インフレにならない程度に国が借金を増やすことは「善」であり、そんなことも分からず借金を減らすことは「悪」となる。
 財務省は、この「収入の枠内での財政運営(=プライマリーバランスの均衡化)」を広く国民に訴え、大多数の国民は、これが間違った政策とは気付いていない。むしろ、真面目な日本人は、国家においても倹約は正しい道で、国家の赤字は悪だと信じている。そして、国民ばかりでなく、ほとんどの政治家も、財界も、マスコミも、プライマリーバランス均衡化が悪政だと気付いていない。
 私としては、間違った政策で貧困への道を歩み続ける日本を見ているのが何とも歯痒いのだが、真実は一つ、その内皆分かってくれる日が来るだろう と思うしかない。

(注)正確に言えば「お金は誰かが借金することで生まれ・・・」となるが、その誰かの大元になるのは国であり、国家が国債を発行することでお金が生まれることになる。日本が高度経済成長をしている頃は、企業が大量に借金をしてお金を産みだし経済が回っていたが、デフレ期には借金を返し負債を減らして体質強化に走ったので、市中を流れるお金がどんどん減っていった。国債残高が1400兆円に膨らんだと喧伝される裏で、家計の金融資産残高は2100兆円にまで膨らみ、この国民による貯蓄行為も市中を流れるお金の量を減らす方向へと働いた。

ツバメの新年度が始まった

 今朝のウォーキングで今年初めてツバメを見た。しかも、5、6羽飛び交っていたので、南の国から最初の一団が到着したのであろう。川面すれすれに滑空したかと思えば急上昇し、青空へ吸い込まれるようにして点となった。ツバメの先発隊はオス中心に構成され、目的地に着いてからは営巣地を探し、メスを受け入れる準備をする。今日見たツバメも、速くて強くて元気なオスたちだったのであろう。
 少し遅れてメスたちや昨年生まれた若鳥が到着する。そこで、気の合ったオスとメスがつがいとなり愛を育む。つがいは、昨年のパートナーと同じ組み合わせであることもあれば、異なることもある。ツバメの寿命は2,3年であるから、生まれて2年目で晴れてつがいになっても、次の3年目で双方とも生き永らえている確率は50%である。生き延びた方の50%は、新しい伴侶とつがいになるのである。
 ツバメの日本における最大の達成目標は、子孫を作り育てることである。メスは5,6個ほど卵を産み2週間ほど抱卵する。孵化した雛は3週間ほどで巣立ちする。巣立ち後の雛はしばらくの間は親から給餌を受けるが、1,2週間して自分で餌が捕れるようになるとヨシ原等で親鳥と共に集団となって過ごす。このようにして、ツバメの日本における滞在期間の中で、前半は家族の営みの中で過ごし、後半は集団の中で一羽の鳥として過ごす。夏の間、南へ渡れる体に成長したツバメは、9月~10月になると体内に分泌されるホルモンの影響で、南へ渡りたい心が無性に疼き出す。そしてある時、意を決して、脳裏に浮かぶ磁力線の方向へと飛び出していく。ツバメの1年は、このようにして、新年度が始まるように日本での新しい生活を始め、上半期が終わるように日本生活を終了し、下半期は南の国で過ごす。ツバメが人家の軒下に巣を作るのは、天敵を避けるためである。別に人間が、ツバメに好かれているわけでもないが、嫌われてもいないだろう。これからもずっと共存したい生き物の一つである。